セミナー・講義情報

2016年度前期

曜日 10:30〜12:00 13:00〜14:30 14:50〜16:20 16:40〜18:10
全体ゼミ
論文読みゼミ
ランチタイムゼミ APゼミ

2016年度全体ゼミ

  • 第4回 5月23日 (月)
  • 発表者:松下祐子
  • 発表タイトル:大質量星からのアウトフロー
  • アブストラクト:理論と観測の両方から、ガスの放出現象であるアウトフローは、星形成過程において出現すると考えられている。また、アウトフローは、低質量原始星から大質量原始星まで現れており、低質量原始星からは低質量アウトフローが大質量原始星からは大質量アウトフローが現れているという観測結果も存在する( Beuther et al. 2002, Wu et al. 2004)。したがって、アウトフローは星形成過程を普遍的に理解するために重要な現象であると考えられる。特に、大質量の形成過程は、過去の研究からもあまり調べられていない。本研究では、小質量星から大質量星までのアウトフローを理解することで、一般的な星形成過程を明らかにできるのではないかという目的のもと、数値シミュレーションを用いて計算を行った。この計算では、磁場を考慮し、質量降着率(分子雲コアの安定性)をパラメータとした。その結果、初期に不安定なガス雲からは、大質量で強力なアウトフローが駆動することが示された。また、質量放出率と質量降着率の比は、質量降着率に依存せず、ある一定の割合(10-50%)であることが分かった。つまり、分子雲コアの磁場が十分に強い場合には、効率良く降着エネルギーがアウトフローの運動エネルギーに変換されていることが示唆される。計算から得られたアウトフローの物理量は、観測とよく一致した。したがって、小質量星の場合も、大質量星の場合も、アウトフローの駆動原因としては磁場が支配的であり、根底にある星形成メカニズムは同じあると考えられる。以上の内容を天文学会で発表したが、今回は、この内容に加えて、大質量星の周りにみられるトロイドという構造についての論文のレビューも行う。

  • 第3回 5月16日 (月)
  • 発表者:樋口公紀
  • 発表タイトル:宇宙の進化と星形成過程の変遷
  • アブストラクト:初期宇宙では磁場が非常に弱いと考えられていたため, 初代星形成過程を調べた先行研究では磁場とその散逸・ 拡散等の効果を無視してシミュレーションが行われてきた。しかし近年の研究によって, 初代星の形成環境に対す る認識が変化してきており, 宇宙論的シミュレーションによると宇宙初期でさえ, 宇宙の構造形成に伴い磁場が局 所的に μG 程度まで増幅されることや, 初代星が誕生する環境下では磁場は small-scale turbulent dynamo と呼ば れる機構によって, 星や他の天体形成に影響を与える程度まで増幅することが議論され始めてきている。以上か ら初期宇宙の星形成を考える場合でも磁場とその散逸・拡散の効果を考慮することが必要である。 本研究では初期宇宙の環境に相当する低金属量のガス中での重力収縮と星形成過程における磁場の効果を調べ るためにオーム散逸・両極性拡散の効果を考慮した磁気流体シミュレーションを行った。最初に解析解を用いて オーム散逸・両極性拡散が正しく計算できていることを確認した。その後, ガス雲の収縮の計算にそれらの効果を 組み込み計算を行った。計算の結果, 低金属量の環境下でも磁場は星形成に重大な影響を与えることがわかった。

  • 第2回 5月9日 (月)
  • 発表者:青島秀治
  • 発表タイトル:1つの恒星周りを公転する3つの巨大惑星の軌道安定性について
  • アブストラクト:1995年に初めて系外惑星は発見された。観測技術の問題で、観測されているほとんどの惑星は巨大ガス惑星ではあるものの、現在では優に1000個以上の系外惑星が観測されている。しかし、それらの惑星のほとんどは太陽系の巨大ガス惑星(木星、土星)とは似ても似つかない異形な軌道をもっていた。今日の発表では、その異形な軌道の中の一つ、エキセントリック・プラネットと呼ばれる軌道離心率が非常に大きな惑星軌道の起源についての論文のレビューをする。

  • 第1回 4月25日 (月)
  • 発表者:大西勇武
  • 発表タイトル:原始惑星系円盤でのガスとダストの相互作用による不安定性の数値シミュレーション
  • アブストラクト:原始惑星系円盤でのガスとダストの相互作用による不安定性には、Streaming instability (SI) や Kelvin-Helmholtz instability (KHI) などが知られてい る。SI は Youdin & Goodman (2005) により提唱された不安定性であり、動径方 向のガス圧力勾配によるダストとガスの速度差に起因してダストが濃集する不安 定性であり、Youdin & Johansen (2007) による線形解析や Johansen & Youdin (2007) による数値シミュレーションによって、詳細に調べられている。一方、 初期のダスト分布が円盤の垂直方向に一様でない場合に KHI が生じることは、 Weidenschilling (1980) により提唱された。Ishitsu et al. (2009) は、十分 に沈殿したダスト層では SI より KHI が優位に起こることを示した。鉛直方向 の重力を入れた場合の数値シミュレーションは、Bai & Stone (2010b,c) により 行なわれている。 本研究では、原始惑星系円盤のガス・ダスト系における SI と KHI を含む不安 定性の総合的な理解をさらに発展させることを目指して、Bai & Stone (2010a) により開発された Athena コードを使用して数値計算を行った。 2 次元軸対称 で円盤垂直方向の重力を入れた場合に、数値シミュレーションを行った結果を報 告し、円盤内のガスとダストの相互作用による不安定性に関する総合的な考察を 行う。

  • 2015年度全体ゼミ

  • 第13回 12月22日(火)
  • 発表者:中田智絵
  • 発表タイトル:Apollo12号地点と15号地点での宇宙風化の要因の違い
  • アブストラクト:月の表面はレゴリスと呼ばれる岩石由来の粒子やガラス片で覆われている。月には大気が無いため、レゴリスはmicrometeoroidの衝突や太陽風の照射によって宇宙風化と呼ばれる光学特性を変化させる作用を受けている。 micrometeoroidの衝突からはagglutinateやnano Feを含む非晶質な層が、太陽風の照射からは鉱物の表面に非晶質な層が形成されることが分かっており、先行研究から月では主にmicrometeoroidの衝突によって宇宙風化が進んだと考えられている。しかし実際にはmicrometeoroidの衝突の効果と太陽風の照射の効果の比率はApollo siteごとによって異なる可能性がある。  卒業研究ではApollo12号と15号のレゴリス試料を用い、粒子一粒ごとの形態の観察から宇宙風化組織の有無に基づいた分類分けを行い、各サイトの分類ごとの粒子の頻度から、Apollo 12号地点と15号地点でmicrometeoroidの衝突の効果と太陽風の照射の効果の比率に差はあるのか、そして差がある場合はどのように説明できるのかを考察する。

  • 第12回 12月15日(火)
  • 発表者:下山ちひろ
  • 発表タイトル:初代低質量星の形成可能性
  • アブストラクト:ビッグバンが起きた後、宇宙初期には水素とヘリウム(とリチウム)しか存在していなかった。そこで初めて出来た初代星は、金属のない初期質量が低質量な原始星であることが分かっている。この初代低質量星が0.8太陽質量以下であれば、現在まで生き残っている可能性が高いとされている。そして、もし初代低質量星を発見することができると、そのスペクトルから宇宙初期の情報を得ることができ、その存在自体で初代星の形成論を制限することができる。このため、初代低質量星の形成可能性を知ることは重要である。 本研究では、初代低質量星が形成されるときのガス雲の物理状態(主に温度、密度)に焦点を当てて、星の質量降着率を計算し、どうゆうガス雲の物理状態であれば、現在まで生存することが可能な初代低質量星が形成できるのかを調べた。

  • 第11回 12月8日(火)
  • 発表者:与賀田佳澄
  • 発表タイトル:局所K-Ar年代測定のためのレーザー励起発光分析法の開発
  • アブストラクト:太陽系の起源と進化の理解において、天然試料に記録された個々のイベントの年代は重要である。 年代を得るためには様々な放射性核種の親核種、娘核種を用いた年代測定法がある。その中でもK-Ar法は放射性核種40K(半減期=12.5億年)が40Arに壊変することを用いた年代測定法であるが、Kが岩石中に比較的豊富に存在するため岩石年代測定において一般的に使われる。 通常、K-Arモデル年代を得るためにはK及びArの定量分析を別々の試料に対して行ってきたが、不均一性の高い試料については年代の不確かさをもたらす要因の一つである。 本研究で開発するレーザー励起発光分析(Laser-Induced Breakdown Spectrometer;LIBS)法では、レーザーアブレーションによって岩石試料の局所領域(<200μm)のK定量及びAr抽出が可能となる。これにより、試料中のK不均一の影響を解消できる。 さらに同一年代を持つと思われる領域を複数点測定することでアイソクロン年代法を適用することができ、非放射性起源の40Arを含む火星隕石などについても正確な年代を得ることができる。 卒業研究では、LIBS法による発光スペクトルの取得、解析および使用する輝線波長の選定を行い、K-Ar年代取得のためのK定量を行う。

  • 第10回 12月1日(火)
  • 発表者:平山友紀子
  • 発表タイトル:
  • アブストラクト:惑星間空間にさらされた大気の無い天体表面では、その光学特性を変化させる宇宙風化と呼ばれる作用が起こっている。宇宙風化を起こす主要因として、太陽風の照射や微小隕石の衝突が考えられてきたが、イトカワ試料の研究は、イトカワ粒子のごく表面を変化させている主要因は太陽風照射であることを支持している(Noguchi et al. 2013)。また、同論文で太陽風照射による宇宙風化過程は、微小隕石の衝突によるものと比べて、光学特性の変化をもたらす時間スケールが短い可能性が示されている。  本研究では月のレゴリス試料を用い、個々の粒子の宇宙風化組織の観察と、太陽風起源希ガスや高エネルギー宇宙線による核反応生成核種の量から、その粒子が受けた太陽風および銀河宇宙線照射の履歴を読み解き、宇宙風化の時間変化について検討する。

  • 第9回 11月24日(火)
  • 発表者:牧瀬孔明
  • 発表タイトル:ヒルダ群小惑星の軌道安定性
  • アブストラクト:ヒルダ群は、軌道長半径が3.7AUから4.2AU、離心率が0.07以上0.3以下、軌道傾斜角が20 °未満の小惑星で構成される小惑星群で、太陽の周りを木星が2回公転する間に小惑星が3回公転するという2:3の平均軌道共鳴に近い状態にある。 本研究では、小惑星が太陽重力、木星重力、日周ヤーコフスキー効果の影響のみを受けると仮定して、小惑星の軌道の安定性を数値シミュレーョンにより調べ、ヒルダ群小惑星の分布の特徴の成因を考察した。

  • 第8回 11月17日(火)
  • 発表者:田中優一
  • 発表タイトル:星形成領域における異方性磁場がガス降着に及ぼす影響
  • アブストラクト:原始星は周囲のガスの降着により質量を獲得しているため、形成される星 の質量を見積もる上で、ガスの降着時間を知ることは重要である。星形 成領域 においてガスの運動を左右する力にはガスの圧力勾配力・重力・磁気力などが挙 げられるが、磁気力の計算に関してはとりわけ難しく、日々研究 がなされてい る。そこで、本研究では、磁場の状態を独自の方法で簡単化してガス降着の様子 を計算することを試み、得られたデータより磁場の及ぼす 影響を考察した。

  • 第7回 11月10日(火)
  • 発表者:工藤星授
  • 発表タイトル:
  • アブストラクト:

  • 第6回 10月27日(火)
  • 発表者:森田一平
  • 発表タイトル:超大質量ブラックホールの
形成と進化
  • アブストラクト:

  • 第5回 7月13日(月)
  • 発表者:武田和也
  • 発表タイトル:
  • アブストラクト:

  • 第4回 6月29日(月)
  • 発表者:樋口公紀
  • 発表タイトル:初期宇宙の星形成と磁場の効果
  • アブストラクト:初期宇宙の磁場強度は非常に弱く、1nG 未満であると考えられている (Barrow et al. 1997; Schleicher et al. 2008)。 そのため宇宙初期の天体形成の研究では、多くの場合磁場の効果が無視されてきた。しかし宇宙の構造形成に伴い磁場は局所的にμG 程度まで増幅されることが示唆されている。近年の研究では、初代星が誕生する環境でも磁場はsmall-scale turbulent dynamoと呼ばれる機構によって、星や他の天体形成に影響を与える程度まで増幅することが認識され始めてきた (e.g., Schleicher et al. 2010)。以上の事実から初期宇宙の星形成を考える場合でも磁場を考慮する必要があると考えられる。 Susa et al. (2015) では、宇宙線と放射性元素によるイオン化を考慮し、異なる金属量を持つガス雲の熱・化学進化を計算した。また計算結果を用いて磁場とガスの 結合の度合を評価した。 本発表では Susa et al. (2015) を紹介し、磁場を考慮した環境における星形成過程を議論し、今後自分が行う研究について述べる。

  • 第3回 6月22日(月)
  • 発表者:松下裕子
  • 発表タイトル:大質量星からのアウトフロー
  • アブストラクト:観測から、大質量星から大質量のアウトフローが駆動することが分かっている。しかしながら、アウトフ ローがどのようにして駆動されているのか詳しいことは分かっていない。本研究では大質量星アウトフロー を調べるために、数値シミュレーションを用いて、大質量星形成の計算を行った。この計算で、初期の分子 雲の安定性 (α0 : 熱エネルギーと重力エネルギーの比) をパラメータとした。α0 が小さいほど、初期のガス 雲は重力的に不安定で、星への降着率が大きい。解析の結果、アウトフローの質量は原始星の質量にのみ依 存することが示された。これは、観測結果とよく一致する。また、アウトフローと質量降着率の比は、原始 星質量には依らず、∼ 30% になることが分かった。

  • 第2回 5月11日(月)
  • 発表者:宮首宏輝
  • 発表タイトル:転位クリープの効果を考慮したプレート沈み込み及び水輸送のシミュレーション
  • アブストラクト:惑星内部の熱を逃がすために、地球にはプレートテクトニクスが存在する。ここではマントル中の熱い物質が地表に送られて、冷却された後に沈み込むことで効率よく内部を冷却させている。このプレートが沈み込む様子を直接的に知ることは、短時間で見れば固体としてふるまい、地震学的タイムスケールでは粘性流体としてふるまうマントルの性質上難しく、数値計算によって調べられている。本研究では高温低応力下でおこる拡散クリープと、高温高応力下でおこる転位クリープそれぞれの条件下で流動則を導いている。この時転位クリープによる効果を温度圧力依存性を下げることで近似した場合(Christensen,1984)と、近似せずに表した場合とを比較していく。そしてそれぞれのスラブの形状の違い、リソスフェアの生成の違いを調べ、転位クリープの効果による影響を解き明かす。

  • 第1回 4月27日(月)
  • 発表者:青島秀治
  • 発表タイトル:同質量の自由落下三体問題における最終状態の予測可能性
  • アブストラクト:三体問題は初期値鋭敏性があり、軌道の予測が非常に困難な運動であることが知られている。本研究では同質量かつ自由落下という条件に絞り、初期座標のみを可変パラメータとして数値実験を行った。その結果、軌道の定性的な予測が可能な初期座標の集合が存在することがわかった。

  • 2014年度全体ゼミ

  • 第9回 1月13日(火)
  • 発表者:
  • 発表タイトル:
  • アブストラクト:

  • 第8回 1月6日(火)
  • 発表者:野見山裕登
  • 発表タイトル:日周ヤーコフスキー効果と木星の重力の影響による隕石の軌道進化
  • アブストラクト:アブストラクト:日周ヤーコフスキー効果と木星の重力による軌道共鳴によって隕 石(meteoroid)の軌道がどのように進化するのかをシミュレーションにより調査した。 数値シミュレーションでは、日周ヤーコフスキー効果によって、小惑星帯からの 隕石の軌道長半径が増大していき、いくつかの軌道共鳴に投入される。今回は、 ヤーコフスキー効果と軌道共鳴について触れながら、得られた計算結果の中から、 いくつかの例を紹介する。

  • 第7回 12月16日(火)
  • 発表者:武田
  • 発表タイトル:
  • アブストラクト:

  • 第6回 12月9日(火)
  • 発表者:松下祐子
  • 発表タイトル:大質量星形成過程のレビューと大質量星からのアウトフローについて
  • アブストラクト:大質量星の形成過程は、小質量星の形成過程に比べるとほとんど 明らかになっていない。しかし、大質量星は銀河形成や星形成など多くの影響を与えている。 したがって、その形成過程を知ることはとても重要であるといえる。 今回は、大質量星の現在考えられている形成過程についての紹介をし、卒論で扱って いく大質量星からのアウトフローについて触れながら今後の研究方針を示す。

  • 第5回 12月2日(火)
  • 発表者:樋口公紀
  • 発表タイトル:Primordial ~ Present-day の星形成過程における磁場の効果
  • アブストラクト:分子雲コア内に磁場が存在していることが偏波の観測から間接的にわかっている. 分子雲コア内で星形成は行われるため,その磁場が星形成に与える影響(ambipolar diffusion, ohmic dissipationなど)を調べることはとても重要である.  そこで今回の発表では,PrimordialとPresent-dayにおける星形成の概要をまず説 明し,そこに磁場が存在することによって,分子雲内で行われる星形成にどのような 影響を与えるのかを説明し,今後の研究の方向性を述べる

  • 第4回 11月25日(火)
  • 発表者:原田萌香
  • 発表タイトル:角礫岩化した普通コンドライト隕石中の外来物質の物質科学的特徴
  • アブストラクト:

  • 第3回 11月18日(火)
  • 発表者:井手良輔
  • 発表タイトル:様々な金属量における分子雲の熱進化と形成される星の質量の推定
  • アブストラクト:異なる金属量Z における分子雲の熱的、化学的な進化を調べる。ここで言う金属量と はHeより重たい元素、つまりHとHeを除くすべての元素の量を表している。 各々の金属の量は太陽組成に比例していると仮定して、分子雲が収縮していく中で温 度がどう変化するかを計算する。 また、その中で、比熱比?が1未満から1以上に変化したときの温度と密度から形成 される星の質量を推定できることが知られている。よって、この熱進化の結果は分子 雲がどの時点で分裂を起こすかに関わり、熱進化の違いによって誕生する星の質量も 違いが生ずる。これらのことからこの研究はどのような星が誕生するのかということ に非常に重要な意味をもたらす。

  • 第2回 11月11日(火)
  • 発表者::橘田英之
  • 発表タイトル:回転軸と磁力線が非平行時における宇宙ジェットおよびアウトフローの解析
  • アブストラクト:星形成過程において原始星付近からジェット、アウトフローと呼ばれる高速のプラズ マガス流噴出現象が観測されている。 理論的にはジェット、アウトフローは磁場により磁気遠心力風や磁気圧勾配の力を受 けて大局磁場の方向に出るものとされている。 しかし、近年の観測技術の向上によりジェット、アウトフローと大局磁場は異なる方 向を向いている事が分かってきた。 そこで、今回は大局磁場に回転軸からの角度を与えた時の星形成過程におけるジェッ ト、アウトフローの時間進化を計算し、解析を行った。 今回は、その解析方法や今後の研究の方向性を述べる。

  • 第1回 11月4日(火)
  • 発表者:中村鉄平
  • 発表タイトル:「異なる金属量における星形成後期段階の進化」
  • アブストラクト:星形成後期段階の進化を調べるために、星形成前のガス雲の金属量を 0 < Z < Z? の範囲で変化させシミュレーションを行った。 ほぼ静水圧平衡状態にあるガス雲から計算を開始し、原始星誕生後 100 年間を計算 した。 星形成過程は Z < 10^-4Z? と Z > 10^-4Z? で大きな違いが見られた。 Z < 10^-4Z? では安定した円盤は形成されずに分裂が頻繁に起こり、多くの原始星 が形成される。 いくつかの原始星は原始星同士の相互作用によってガス雲の中心から放出されるが、 最終的に 10~20 の原始星からなる星団が形成される。 Z > 10^-4Z?では単一の原始星が形成し、周囲には安定した円盤が現れる。 この場合円盤内で時折分裂が起きクランプが形成されるが、最終的にくランプは中心 の原始星に落下する。 星形成過程の違いはガスの熱進化と質量降着率の違いによって生じる。 ガス雲の熱進化はファーストコアの生存時間を決定する。 Z > 10^-4Z? の場合では原始星が形成される前にファーストコアを形成するが、Z < 10^-4Z? では安定なファーストコアは形成されない。 ファーストコアは次第に円盤に成長し、円盤は角運動量輸送を効率的にし、分裂を抑 制する。 Z < 10^-4Z? の場合は質量降着率が高く円盤の表面密度が短時間で増加し、円盤は 重力的に不安になる。 結果的に活発な分裂が引き起こされる。


  • 2013年度全体ゼミ

  • 第13回 11月19日(火)
  • 発表者:大西勇武
  • 発表タイトル:「原始惑星系円盤での磁気回転不安定性の3次元数値シミュレーション」
  • アブストラクト:
    原始惑星系円盤は中心星に降着していることが観測されている。しかし、降着 が起こるためには円盤ガスの角運動量を外側に輸送しなければならない。この 輸送プロセスとして現在最も有力な候補として考えられているのが磁気回転不安定性 (MRI)である。今回の発表では、MRIのメカニズムについて簡単に説明した後、 Hawley, Gammie & Balbus (1995)の論文で理想MHDの場合を、 Sano, Inutsuka, Turner & Stone (2004)の論文で非理想MHDの場合のレビューをそれぞれ行い、 3次元数値シミュレーションによってMRIを発生させることを試みた。

  • 第12回 11月12日(火)
  • 発表者:関谷実
  • 発表タイトル:「原始惑星系円盤内のダスト層の安定性のエネルギー的考察」
  • アブストラクト:
    原始惑星系円盤はガスとダストから成る。円盤が層流状態にあるとすると、ダスト は中心星重力と遠心力の合力を受けて、円盤中心面に向かって沈殿して、 ダスト層を形成する。中心面のダスト密度は徐々に増大し、やがでダスト層の密度が 重力不安定性の臨界密度を超えると、ダスト層は分裂して微惑星が形成される。 これが古典的な微惑星形成のシナリオである。ダストとガスの柱密度の比が 太陽組成から推測される値で与えられる場合には、実際は、ダスト層は重力不安定性 の臨界密度に達する前に、シア不安定性により乱流状態になる。ダストのサイズ が十分に小さくて、ガス抵抗力が効く時間がケプラー周期よりもはるかに短い場合には、 ダストは沈殿することはなく、重力不安定性による微惑星形成は起こらない。 ある軌道半径で、ダストの濃集やガスの散逸により、ダスト柱密度のガス 柱密度に対する比が増加した場合は、重力不安定性が起こる可能性がある。 本講演では、以上のことがエネルギーを使った簡単な考察で理解できることを示す。

  • 第11回 11月5日(火)
  • 発表者:町田正博
  • 発表タイトル:「星周円盤の形成過程」
  • アブストラクト:
    近年、計算機の発展により星・惑星形成の母体である分子雲コアから星周円盤が形成し 進化する過程を直接数値シミュレーションで計算できるようになった。従来、星周円盤 (原始惑星系円盤)は、分子雲コアが持つ角運動量によって必然的に形成すると考えられていた。 しかし、最近の現実的な数値計算は、円盤が持つ角運動量が磁気制動という効果によって 過剰に外層に輸送されてしまうことを示している。これは、円盤形成が今まで考えられていたように 単純ではなく、磁場による角運動量輸送や磁場の散逸などが円盤の進化に重要な役割 を果たすことを意味している。そのため、惑星形成の初期条件である原始惑星系円盤 の性質を理解するためには、磁場やその散逸、また輻射を考慮した数値シミュレーションを 実行する必要がある。この発表では、星周円盤形成の最近の現状をレビューし、 その後、現在考えられている円盤形成シナリオについて述べる。

  • 第10回 10月28日(火)
  • 発表者:片岡章雅 (国立天文台/総合研究大学院大学)
  • 発表タイトル:「高空隙ダストの静的圧縮を考慮した微惑星形成」
  • アブストラクト:
    原始惑星系円盤においてミクロンサイズのダストがキロメートルサイズの微惑星 に合体成長する過程は未だ理論的に解明されていない。主な問題点として、 中心星落下問題 (Adachi et al. 1976)、衝突破壊問題 (Blum & Wurm 2008)、 跳ね返り問題 (Zsom et al. 2010) が挙げられる。近年、 衝突合体に伴う氷ダスト の高空隙率化を考慮することでこれらの問題を解決することが提案されてきた (Okuzumi et al. 2012)。しかし、このモデルでは形成される微惑星の内部密度 が10^−5 g/cm^3 まで下がってしまい、彗星などが 0.1 g/cm^3 程度の内部密度 を持つことを説明できないことが問題であった。  我々は、N体計算で求めた空隙ダストの圧縮強度公式(Kataoka et al. 2013a) を用いて、原始惑星系円盤におけるガス圧や自己重力による氷空隙ダストの 圧縮過程を調べた。それにより、原始惑星系円盤の各軌道長半径におけるダストから 微惑星までの内部密度進化を明らかにした(Kataoka et al. 2013b)。合体成長 によって高空隙率を持ったダストは、ガス圧によって圧縮されながら合体成長する。 その際、高空隙率化による中心星落下問題・跳ね返り問題の回避は、 静的圧縮を考慮してもなお実現されることが示された。更に高空隙天体が100mサイズ まで成長すると自己重力によって圧縮され始め、最終的に10km サイズまで成長し、 彗星やカイパーベルト天体で示唆される内部密度 (~ 0.1 g/cm^3) が実現されることが示された。

  • 第9回 7月11日(木)
  • 発表者:大西勇武
  • 発表タイトル:「原始惑星系円盤で磁気回転不安定性の数値シミュレーション」
  • アブストラクト:
    原始惑星系円盤は中心星に降着していることが観測されている。しかし、降着 が起こるためには円盤ガスの角運動量を外側に輸送しなければならない。この輸 送プロセスとして現在最も有力な候補として考えられているのが磁気回転不安定 性(MRI)である。今回の発表では、MRIのメカニズムについて簡単に説明した 後、Hawle & Balbus (1992a)の論文のレビューを行い、数値シミュレーションに よってMRIを発生させることを試みた。

  • 第8回 6月13日(木)
  • 発表者:井手良輔
  • 発表タイトル:「宇宙論パラメータと宇宙の化学進化の関係」
  • アブストラクト:
    様々な観測から、われわれの宇宙は膨張していることが分かっていて、宇宙の進化は物質、輻射、 宇宙定数などのエネルギーのバランスによって決定づけられる。それぞれのエネルギーのバランス により過去、そして未来の宇宙の姿が理解できる。この宇宙の膨張(収縮)によって宇宙の温度、 密度は刻一刻と変化する。この変化に伴ってそれまで高温の下ではイオン化していた水素が、 温度の低下によって電子を捕獲して中性化する。そして更に、原子同士が結びついて分子が生成される。 本研究では、膨張する宇宙で水素分子を含めた様々な物質の進化の過程を調べる。

  • 第7回 6月6日(木)
  • 発表者:武智弘之
  • 発表タイトル:「(論文レビュー)CV,CKコンドライトの 組成および岩石学的な類似点:衝突加熱、破砕や酸化によ る岩石組織および揮発性物質の濃度における多様性をもつ 単一のグループ 」
  • アブストラクト:
    炭素質コンドライトグループであるCKコンドライトは、Kallemeyn et al. (1991)により、1つの独立したグループとして分類されており、他の炭素質 コンドライトとは異な り、水質変質の痕跡はほとんど見られない一方、強い 熱変成、衝突加熱を受けているという特徴を持つ。卒業論文では、このCK コンドライト の性質の記載に努めた。このCKコンドライトの中でも、熱変成、 衝突加熱を比較的受けていないCKコンドライトは、同じ炭素質コンドライト グループであるCV コンドライトと似た特徴をもつ。今回レビューする論文は、 CK, CVコンドライトの組織観察、元素の定量分析を行うことで、CK, CV コンドライトを明確に分類できるような差異がみられるかどうかを確認すること を目的としている。

  • 第6回 5月30日(木)
  • 発表者:野見山裕登
  • 発表タイトル:「隕石の宇宙線照射年代とヤーコフスキー効果による軌道進化の関係 」
  • アブストラクト:
    宇宙線照射(CRE)年代は、石質隕石が10〜100Myr、鉄隕石は100〜1000Myrと、隕石の種類によって異な る。この違いの考えられる原因の一つとしてヤーコフスキー効果があげられる。ヤーコフスキー効果と は、自転と公転をする天体が中心星の光の照射を受け、それを再放射する際に生じる反作用の力により 、軌道が変化することである。ヤーコフスキー効果によるmeteoroidの軌道変化の時間をSekiya & Shimo da (preprint) の方法で計算し、宇宙線照射年代と比較することで、宇宙線照射年代の違いを説明でき るかどうか調べることを目的とし、研究を行なった。

  • 第5回 5月23日(木)
  • 発表者:古澤悠季
  • 発表タイトル:「原始惑星への微惑星の衝突過程」
  • アブストラクト:
    惑星は原始星の周りに形成する原始惑星系円盤の中で誕生する。惑星形成の基本シナリオに従うと、 最初に原始惑星系円盤中にわずかに存在する微粒子が赤道面に沈殿して微惑星を形成する。その後微 惑星同士が合体成長して、原始惑星へと成長する。近年の研究によると、形成した微惑星の中でわず かに大きかったものが暴走的に成長して最終的に惑星へと成長すると考えられている。 この過程では 、より大きな微惑星(原始惑星)に小さな微惑星が連続的に落下することによって原始惑星が成長する。 しかし、太陽重力場中での原始惑星の衝突(落下)過程は非常に複雑であり、数値計算をもちいて調べる 必要がある。

    • 第4回 5月16日(木)
    • 発表者:中村鉄平
    • 発表タイトル:「シミュレーション銀河内分子ガス構造の定量化」
    • アブストラクト:
      シミュレーション銀河に輝度分布関数(BDF)、 輝度分布指数(BDI)解析と密度分布関数(DDF)、密度分布指数(DDI) 解析を利用することによって銀河系内の分子ガスの構造発展を研究 した。この解析は分子ガスの量や、コア、クランプ、巨大分子雲と いった構造を定義することなく、非一様な構造を定量化することが でき、高いBDIを示す分子ガスは銀河内のスパイラルアームに沿って 連続的に位置している。これは分子ガスがスパイラルアー厶を通して 自らの構造を変化させていると考えることができ、分子ガスはスパイ ラルアームに衝突することで構造的なガスに変化し、星形成が起こ り、最終的にスパイラルアームを通過し冷えた、活発でない状態に戻 ると考えられる。

    • 第3回 5月9日(木)
    • 発表者:松田伸太郎
    • 発表タイトル:「普通コンドライトMoorabie中の黒色包有物」
    • アブストラクト:
      普通コンドライトMoorabie(L3.8-an)には数μmサイズの細粒からなる黒色包有物 (約1mm x 0.5mm)が存在する。 この黒色包有物は主にFe-poorなpyroxeneからなり、Moorabie母岩のマトリック スと鉱物・化学組成が異なるため、 母天体集積時に混入した外来物質と考えられる。 黒色包有物と母岩マトリックスそれぞれの希ガス組成や化学組成を比較することで、 母天体集積時の加熱やショックによる物質変質の様子を探る事を研究の目的とした。 発表では希ガス同位体分析や鉱物・化学組成、さらに顕微ラマン分光分析の結果 を紹介し、議論する。

    • 第2回 4月25日(木)
    • 発表者:橘田英之
    • 発表タイトル:「宇宙ジェットのMHDシミュレーション」
    • アブストラクト:
      天体現象として、巨大な重力天体周辺から細く絞られた プラズマガスが吹き出すことが観測で分かっている。こ れを宇宙ジェットという。しかし現在、宇宙ジェットに 関して観測ではあまり詳しく分かっていない。そこで、 今研究では現在に考えられている宇宙ジェットのいくつ かのモデルを理解するとともにMHDシミュレーションを 行い、宇宙ジェットの時間進化を磁場の強さを変化させ て可視化して解析した。

    • 第1回 4月15日(月)
    • 発表者:末次竜 (神戸大学)
    • 発表タイトル:「惑星による微惑星一時捕獲過程」
    • アブストラクト:
      惑星近傍を微惑星が通過すると稀に惑星の重力に微惑星が捕獲され、惑星を中心 にしばらく公転した後、遠方へ飛ばされてゆくことがある。この現象を微惑星の 一時捕獲という。近年、この一時捕獲が短周期彗星の力学進化、不規則衛星の形 成の重要な役割を担っている可能性が示唆されている。しかし今まで一時捕獲過 程は詳しく調べられてこなかった。そこで本研究ではローカルとグローバルの三 体問題軌道計算を使って、微惑星の一時捕獲過程を詳しく調べた(Suetsugu etal. 2011, Suetsugu & Ohtsuki in press)。セミナーでは主に一時捕獲の軌道や頻度 について発表する予定である。